ハワイ不動産売却(専任媒介に関する注意点)についてのコラムです。

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ハワイ不動産売却(専任媒介に関する注意点)

ハワイ不動産売却(専任媒介に関する注意点)

ハワイの不動産を売却する時、特に日本人は注意しておくことがあります。
それはハワイは「専任契約しかない」ということをきちんと認識しておくことです。

日本の不動産契約の場合には「一般契約」といって、いくつもの不動産会社に売り出し依頼をすることができる制度があります。
その感覚でついついハワイの場合も、と考えがちですが、それはできません。

ハワイには専任契約しかないのです。

売り出しにかけてもなかなか売れないことがあります。
価格や他の条件で折り合いが付かないままいつしか半年一年が経過していくということがあります。
そんな時たとえばあなたは何かのきっかけで知り合いに自分のハワイ不動産のことを話し、その知り合いが欲しいと言ったとします。
売買契約締結です。

ハワイのリアルターは何もしていません。

でもこの場合も仲介手数料の支払い義務はしっかり発生するのです。
「おいおいリアルターが何もしてくれないから自分で苦労して売ったんじゃないか」、と言っても、そこは契約社会のアメリカです。通用しません。

もしあなたがリアルターに内緒で登記をしようとしてもエスクロー手続き時に発覚します。
エスクローは悪いところも良いところも全て調べる中立な第三者機関です。このことはどうか穏便に、はできません。

もちろんエスクローを使わずに登記することも、できないことはありません。
弁護士を通したクイットクレームによる登記で譲渡した場合がそれです。必ずしもエスクローを通さなくてもそのまま登記所に持ち込み登記できます。

でもあなたがリアルターに内緒で登記したことはいつか発覚します。そしてその時点でペナルティーを加算された請求書が届くでしょう。また最悪訴えられる場合もあります。

そこは日本とは全く違うのです。厳しいのです。

それから購入する際にも、同様のことを気に留めておいて下さい。

ハワイは一般的にMLSにて売買を行ないます。
このMLSはハワイ不動産協会に加盟している不動産業者が自分が請け負った売り出し物件を登録するデータベースです。
ハワイ州全ての売り出し物件のデータが入っています。

ですから購入希望者は一軒の不動産業者に足を運んだだけで州全ての売り出し物件を知ることができます。日本のようにあちこちの業者を歩き回る必要がないのです。

しかしながらこういうシステムは、当然日本人の方は知りません。ですから日本の時と同じ感覚で何軒もの不動産会社に足を踏み入れます。4軒でも10軒でも次々にあちこちの業者に足を運び、物件の資料をリクエストし、内覧希望をします。でも結果はどこにいっても同じ物件を案内されることになります。何しろデータの出所は同じですから、当然です。

もちろんこういうことはハワイの不動産業者にとっても喜ばしいことではありません。
互いに無益な手間と時間だけを費やすことになるからです。

ですから、購入時も物件視察の段階で、専任契約を結ぶ不動産業者もいます。こういうお互いの不利益を防ぐためです。

ハワイ不動産売却(専任媒介に関する注意点)

このようにハワイでは、売る場合も買う場合も、特定の一人の人間を代理人として雇用して、行なう習慣があります。

日本の方にとっては慣れない習慣ですから、中にはそういう契約をすると必ず買わなくていけないんじゃないだろうかと思い込む人もおりますが、もちろんそうではありません。
買う買わないは当然ご本人の意思です。何しろ契約社会ですから、実際の売買契約書に署名しない限り、売買について何の拘束力もありません。

それにこの代理人雇用は実はあなたのためでもあるのです。
これを行なうことにより、あなたはもう不特定多数の冷やかしの見学者ではありません。依頼された代理人は正々堂々あなただけのために物件を探すことができるようになるのです。
あなたは条件と希望を伝えるだけです。

それに合う物件を膨大なデータの詰まっているMLSから探し出してきてくれます。
もし気に入った物件があれば、あなたの代理人である買い手のリアルターは、売り手のリアルターに対し、あなたの条件で申込みを入れます。

何も売り出されている条件と同じで購入する必要はありません。どんどん自分の希望を主張してください。ディスカウント、登記日数、測量について等。相手が受け入れるかどうかは分かりません。でも言わないよりは言ったほうが得です。言ってみて相手が受け入れてくれたら、ラッキーというくらいでも構いません。それにあまり無茶苦茶なリクエストには我々代理人が、これはちょっと、、、と意見を言います。ですから遠慮なくまずご自身の希望をおっしゃってください。

そして当然売り手もそのままあなたの申込みを受けません。
今度は逆申込みをしてきます。これは了承できる、これは駄目、これはもう少し考え直してくれないか、、、などなど。そうして何度か散々遣り合って、折り合いが付けば契約締結ですし、もちろん流れることもあります。

売り手の代理人は契約に基づき売り手の利益を守るためだけに交渉代理します。そしてあなたのために買い手の代理人があなたの利益のためだけに交渉代理します。

代理人雇用というのはつまり、そういうことのためなのです。

「私はあなたの味方です」それを文書化したものなのです。

これは弁護士との契約と似ています。
クライアントの利益が最優先、それがこの契約の目的です。

二股三股掛けられる日本。

でも実は業者だって二股三股掛ける人にそれほど真剣に対応なんかしていません。

追伸:売り出しの専任契約、その条件に特に決まりはありません。
ですから期間は最初に決めることができますので、よくよくお考えの上お決め下さい。
また内容の分からない書類への署名は金輪際しないようにしてください。
後で必ずトラブルの原因になります。
そこは契約社会ですので。